読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「ポスト消費社会のゆくえ」読了

読書記録

ポスト消費社会のゆくえ (文春新書)

ポスト消費社会のゆくえ (文春新書)

「セゾングループの歩みを振り返ることは日本の戦後消費社会の歴史を考えること...」ということで、1950'sから2008まで対談形式で述べられています。

学生時代に池袋西武百貨店でバイトしていたことがあり、少しの期間だけど(一番末端の立場で)その現場にいた者としては、雲の上のお話です。当然ですがそのスケールの大きさにびっくりです。

第一章 1950's~70's

労働組合や60年安保の話など。

そのほかに「西武グループ」と「西友グループ」の比較がおもしろい。百貨店と量販店は全然違うものだそうです。百貨店の人は消費のマーケティング、量販店の人はシステム・マネジメントに重きをおいているのだそう。

60年代の流通革命で「次は量販店の時代」といわれつつも、百貨店は90年代の流通革命まで生き残ります。

第二章 1970's~80's

セゾンとパルコの広告がたいへん前衛的だった時代です。ただし内容は消費者にあわせて、うつりかわっていきます。

上野 何が変わったのでしょう。
辻井 消費者が小売業に対して求めるものがなくなってきた。自分の生活に支障さえ来たさない程度にモノがあれば、それで充分だと。それまでの大衆消費社会から個人消費の時代になっていったわけです。
上野 いわゆる成熟マーケット、市場飽和の時代になったと。でも、そういう市場の変化は西武だけが体験しているわけじゃないですよね。すべての小売業が直面したマーケットの変化です。
辻井 「百貨店冬の時代」とも言われ、小売業全体が衰退期に入った時期です。人口が減って、消費者が高齢化すればマーケットが広がるわけがありませんから、一つのパイの食い合いしか残されてない。
上野 そこから迷走期に入るんですね。

第三章 1990's~

ここから、セゾングループの失敗・解体を検証する上野氏が厳しいです。4つのシナリオに基いて追求しています。4つのシナリオとは

  1. セゾングループの失敗はその体質にある
  2. グループ内の一部の失敗のダメージが他に波及した
  3. この失敗は総帥・堤清二の経営責任にある
  4. 堤清二のパーソナリティに問題がある

ちなみに4番目のパーソナリティに問題が...というのは、上野氏は消費社会研究家の三浦展氏と対談して「(堤さんの)破滅への願望が、こういう事態を招いたというか、意図的に引き起こしたというか」という話題になったそうです。経営者でありつつも、詩人であり作家である堤氏の性格上そういう解釈もなりたつのかもしれません。

第四章 2008

大局的なまとめです。三島由紀夫とのエピソードが興味深いです。個人的に親しかったそうです。

全体の感想としては、団塊の世代の話題と自分自身が経験してきた時代が、地続きで語られていて感慨深いです。そして今現在が未来に感じられる、未来に生きている気分になるということは、自分はもう過去の人間なのでしょうね。