「相場師スクーリング」読了

相場師スクーリング

相場師スクーリング

今月は積ん読消化月間です。

著者が相場を人に教えたときに、なかなか理解してもらえないことがまとめられています。特に「売り」が理解されないようで、頭にない概念は説明しても「ない」ので理解できない、と嘆いています。その「売り」について印象的だったのは、ある商社の人の言葉として引用されている

人気料を含んでいる相場は、その人気料の多寡にかかわらずすべて売り

暗号通貨とかまさにそうで「新しい技術だから」「未来が期待されるから」とか人気料ですよね…。

また素人に理解されない「ヘッジでサヤを稼ぐこと」も秋山素男氏の「五風十雨」から引用しています。

(商人というものは)手持ちしている商品は、一刻も早く売りさばいてしまいたいと思っている。そして売り急ぐ。しかしまた仕入れる。しかしまた売り急ぐ。それの繰り返しが商業というものの宿命である。
ことに輸入商社は、世界各地で輸入成約し、それを船積みして日本に運んでくるのであるが、その期間には大変長い時間がかかる。
そこで、先物市場に上場されている商品については、とにかく<値>に構わず売りヘッジする。
そして幸いにも現物が上首尾に売却できたら、その時点で定期の売りヘッジ玉を外すのである。また定期で渡し、それを上手に親引けして、サヤを稼ぐ。
ところで、定期に売りつなぐといっても買う人がいなくては売れない。
そこで商品取引所というものがあり、取引員というものがおり、これらが、勢子(セコ)となって大衆を狩り出し、商社や玄人筋の売りに買い向かわせるのである。
したがって、大衆投機家というものは、必ず買ってくれなくては困るのだ。これが玄人のマネをして、売りから入ったので、商品相場は成り立たない。ごく単純な仕組みである。

わかりやすいです。本来の相場の役割ですね。リスクを買ってくれるお大尽が求められてます。

先日読んだケインズは『同じ投機に参加してはいても、素人と玄人では、全くちがったルールのゲームを行っている』と言っていたらしいです。

なんとか玄人の側に入りたいものです。カモにはなりたくない…。